リーマンショックでぼろ儲けした連中と吹っ飛んだ連中の話
神楽です。
投資は、リスクリターンのバランスが重要です。
しかしながら、意外と保険会社や公的機関ほど疎かになっていたりします。
近年ではファンドオブファンズが運用委託を受けていて、そこまでバランスの悪い運用はしていないかもしれませんが、保険会社や公的機関のトレーダーというのは無限大のリスクをとって、ちょこちょこと利益をかすめ取るような運用をしていることが多いです。
簡単に言えば、225オプションのショートストラングルで放置するようなものです。
普通はロングもかませてヘッジを効かせますが、いきなり日経2000円も動かねえだろ、と余裕かましてSQまで放置する感じですね。
確かに勝率は高いですが、典型的なコツコツドカンです。
一瞬にして全資産を吹っ飛ばすリスクをとりつつ、ちょこちょこプレミアムで稼いでいるわけです。
で、実際どんなバランスの悪いトレードを過去にしていたかと言うと、彼らはCDS(Credit default swap)を売っていました。
CDSは、企業や国が破綻するなど一定の事由により発生する損失に対してかける保険で、補てん額の数%を保険料として払います。
分かりやすく例えると、1億に対するCDSとして、年に100万ほどの保険料を払えば何かあったときに1億もらえるってことですね。(分かりやすく極端な例にしています)
これを彼らは販売し、保険料でちょろちょろ儲けていたわけですね。
…しかし2007年、リーマンショックで全てが吹っ飛びます。
CDSでの補てん額支払いが生じて、天文学的な支払いをすることになったわけです。
AIGなんかはこれで死にかけたわけですが、アメリカ政府が救済してなんとかなりました。
ちなみに、このときにボロ儲けした奴らがいます。
それは、GSなどの一部の投資銀行の連中です。
彼らはCDSを空売りしまくったのです。
どういうことか?
つまり、債券など保険をかけるべき対象がない状態で、保険料だけを支払っておくのです。
例えば年間1億ほどの保険料を支払っておけば、デフォルトしたときに補てん額の100億が丸まるもらえるわけです。(これも極端な例えですが)
つまり彼らは世界がクラッシュする方向にベットし、巨額のリターンを狙ったわけですね。
結果として何千億、何兆円規模も儲けたようです。
とは言え彼らも、AIGが破綻したら補てん額をもらえないのでリスクをとっていたわけですが。
※ちなみにそのリスクをカウンターパーティリスクと言います。
これがリスクリターンの悪い例(ある意味いい例?)ですね。
まあ個人でCDSを扱うことはないので、読者の方々に直接関係のある話ではありませんが、投資の小話としてご紹介させていただきました。
それでは、また。